つき



春の夜
月は上弦の小潮時
雲の掛かった空に 淡いひかりで輝いている
――それほど美しい月ではない。
誰もがきっとそう思うであろう
そして 眺めることなどなく過ごすのだ

しかし 今日の月は
私の心を吸い寄せ
わたしを 無限の大空に光を発して 包み込む

なにがおまえをそんなにやさしくしているのか
なにがおまえをそんなにうつくしくさせるのか
わからない

じっとおまえに見入っているうちに
わたくしはさらに引き込まれてゆく

おまえのまわりのくもは晴れて
星のないくらい空に おまえはひとり輝いている


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