『水たまり』



 愛すべき乙女に、愛と感謝を込めて。

 私は、あなたがたが『水たまり』という歌を歌うのを聴きました。そこには、今まで私の知ることのなかった感動がありました。

 ああ、私は今まで、なんと浅はかにあなたを愛していたことでしょう。
 ああ、私は今まで、なんと不自由にあなたを愛していたことでしょう。

 私は今まで、あなたを、世間の評価の中で愛していました。
 私は今まで、あなたを、感心の中で愛していました。

 なんと冷たい私の心であったことでしょう。

 私は、あなたがただ美しいので、あなたに恋をしていたのです。
 私は、あなたがただ優秀なので、あなたを愛していたのです。
 私は、みんながあなたにあこがれるので、あなたを愛していたのです。

 今、思い返してみると、なんと冷たい私であったことでしょう。

 私は、心からあなたを愛するべきであったのです。
 あなたが私に与えてくれる感動、あなたが私のそばにいてくれるという感動、それらをもってあなたを愛するべきだったのです。

 あなたがたの歌には感動があったのです。
 感心できる歌を探せば、きっと、より上手で、私を感心させる歌が見つかるでしょう。
 しかし、今の私は、それを最上の歌だとは思わない。
 最上の歌は、私の身近なところにいるあなたがたが、その努力の結晶として歌い上げた、感動の歌なのです。

 私の心の中で、『水たまり』は、その濁った水に、青い空を映し始めました。


左注
『水たまり』 高田三郎氏作曲、高野喜久雄氏作詩の合唱曲。合唱組曲『水のいのち』の第二曲。ここでは、女声三部合唱。

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