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■葉■




叩き起こされて目が覚めた瞬間、頭があったのが我愛羅の膝の上だった。


破廉恥とか言われそうな勢いで周辺であたふたしてるテマリとカンクロウ。
テマリに引っ張り起こされて、眼をこすって河原まで顔を洗いにいって……



目が覚めて最初に聞かれたのが「夢遊病とかあるのか?」だからやってられない。

いや、あの……変な癖もなにもないんで勘違いしないでー!
多分なにもなかった!

きっと私が途中で寝ちゃって、我愛羅の方に身体が倒れちゃったんだと思う。




……地面に放り出されなかっただけでもましなのかな……



あはは、と苦笑を零しながらテマリの言葉を聞き流す私。
睡眠欲に勝てなかった自分が恨めしい……

「暇でしょ」とかいって私が勝手に起きてたのに、さらに勝手に眠りこけるなんて…
本末転倒もはなはだしい!!!


あぁぁぁ…穴があったら入りたい……







そんなやりとりを繰り返し、まぁ…誤解とかも程良くとけたころ…
私たちは木ノ葉の里へたどり着いた。

おぉー、ここが木ノ葉。なんで「あ」と「ん」なのかな、って最初ずっと思ってたよこの門。
「あ」から始まって「ん」で終わるからかな?
って、いやいや、そんな豆知識はいらない。

それより…



この門の中にとうとう入れるのだ!

うわーっ! ちょ、私ドキドキしてきたよ!!
忍びってわけじゃないから通行証はいらないし…
ど、どうしよう。どこから観光しようか!!

…なんて、目的スルーしてはしゃぎそうになった私に気が付いたテマリが後頭部を叩いてきた。
いたひ……。
ちょっとした冗談もきかないのか……


まあ、それもそのはず。
三人はただ遊びに来ているわけじゃない。


木ノ葉崩しという任務があるのだ




……そう、大蛇丸によって仕組まれた任務が……









いつ、話すのが一番いいのか……


風影が大蛇丸の手に落ちてしまっている可能性を伝える段階が、私はわからずにいた。
頭が悪いから…必死に考えても追いつかない。

…でも、みんなを守るために、動こうって決めた。


とにかく大蛇丸は中忍試験で尻尾を出す。
まずはそこを捕まえないと……



敵の姿を知らなきゃ、信じてもらえっこない。



たった数日一緒にいただけの私。
私の言葉以外に、説得する材料が必要……
これは、悪い頭で必死で考えた結論だ。

ここは気合いを入れていかないと…ね。




と、私が一人心内で意気込んでいたわけだが…
なんかいつの間にか二手にわかれてた。

テマリとカンクロウの組と、私と我愛羅の組。

「じゃ。」と手を振る二人の姿を見れば、あれよあれよと言う間にテマリとカンクロウは遠ざかっていってしまった…
………って、なんだってこんな事になってるのかな? ん?


「我愛羅、えーと………かいつまんで現在の状況を教えてもらえると嬉しいかなぁ〜」

「………。」


あっ! 無言になったかと思ったらあからさまにふかああぁぁく溜息つかれた!!
おぉーい、私はそこまで我愛羅に重荷な存在ですか?
ひくっと笑顔がひきつるも、視線を逸らして堪える。

我慢我慢。聞いてなかった自分が悪い。

……と、その台詞を頭の中で反復していた時だった。
隣の我愛羅からぽつりと返事が返った。


「木ノ葉の情報を集めるために二組に分かれた。」

「あー……なるほど。」


ぽむっ、と手を打ち納得する私。
納得するや否やスタスタと歩き出す我愛羅。 って! ちょ、ちょ、待ってー!!

私は慌てて歩き出す我愛羅の後をついていく。
ホントにマイペースというかなんというか……
慌てて我愛羅の所においつけば、私は後についていきながら自分の荷物の中にあった例の本を取りだした。
そう。”NARUTOまるわかりブック”だ! ……まぁ、この名称は私が勝手につけたわけだけど……

とにかく、混乱することや考えることがいっぱいな現在、話の流れが頭からすっぱぬけそうなわけなのだ。
ソレを考えるとこの本は必需品。
いやぁ…助かるわー。



ぱらり…本の表紙をめくればNARUTOの世界が文章となって現れる。
ナルト達のアカデミー卒業や波の国での出来事…
細々と書かれていてなんだか懐かしい。
…っと、懐かしいけれど今はそこじゃなくって……

今しようとしていたことを忘れそうになり、私は改めてぱらぱらとページを読み進めていく。
そして突入したのが中忍試験一週間前…つまり、今日の部分だった。
私はめくる手を止めると目を通す。

火影…三代目が上忍達を集めルーキーの推薦をするはずの今日。
それとほぼ同時刻頃、そういえば彼らと会うはずだった。

ナルトとサクラ、サスケ……そして木ノ葉丸達と……


「って! そういやこの時だった!」


…と、私は現在の状況に改めて気が付くと思わず叫んだ。
叫んだから目の前の我愛羅が停止して、思わずその背中に突っ伏してしまった。
ぽふっと我愛羅の背中につっこんでしまえば「ご、ごめっ」と、慌てたためたどたどしい謝罪の言葉を相手へと向ける。



…っていうかそうだった。そうだったよ。
一週間前である今日、砂隠れの三人と木ノ葉の面子が顔を合わせるんだったよー!!

木ノ葉にこられたことですっかりはしゃいで忘れてしまっていた私。


中忍試験も大事だけれど…

こんな重要なこと忘れててどうする!!


私はパタンと本を閉じるとしまい込む。
そうしてキッと真剣な眼差しを我愛羅に向けると拳を握りしめ言葉を発する。


「我愛羅、今すぐテマリとカンクロウを追いかけるよ!」

「何故だ。」

「カンクロウ…この後木ノ葉の子どもにちょっかいだすの。…っていうか、弱い者苛めっていうか…」

「……例の、未来がみえる力か?」

「うん。…まぁ、見えるっていうより知ってるっていうのが正しいんだけど……」


どっちにしたって、カンクロウの弱い者虐めは変わらない。

…やっぱ、気に入っている人達が弱い者苛めとかするの、見てられないよね。
なんというかこの時期の三人って、何処か子どもなところがあるから……


……って、子どもか。


考えてみればみんなは大体中学生くらい。
あんまり大人びてるから忘れそうになっちゃったよ。
危ない危ない…と、思考を切り替えると私はさっきの言葉に続けて我愛羅に呟いた。


「それに、下手に木ノ葉にちょっかいかける兄も見たくないでしょ?」


あはは、と微かな笑い交じりな私の一言。
けれど、そんな一言はするりと我愛羅の耳をすり抜けたようだった。
冷たく…言いかえされてしまった…


「あいつらを兄弟と思ったことはない。」



淡々と口からこぼれ落ちる台詞。

感情なんて欠片も無いようで…
凄く…寂しくなった……



漫画での中忍試験中、カンクロウと言い合うシーンを思い出す。
亀裂の入った兄弟の関係。

…何処か壁がある関係…


私は微かに唇を噛みしめる。
寂しいと思ってしまったその気持ちを紛らわし…我愛羅と向き合う…
そして静かに吐息を漏らすと我愛羅の手を取り、また呟く。


「なら、”カンクロウ”を。砂隠れの里のカンクロウを、我愛羅は放って置いちゃだめ。」

「………。」


この言葉には、少し目の色に反応が見られた。
また沈黙が返ったけれど、緊迫した雰囲気はなかった。

私は小さく笑むと手を引いた。
カンクロウとテマリが向かっていった方向へ……


我愛羅は何も言わずついてきてくれた。



私はそれが嬉しくて、また一言呟いた。


「兄弟って存在と向き合うのは…今はいい。でも、二人自身の存在は、ちゃんと見てあげて。」




二人とも、凄いんだから。




満面の笑みで我愛羅に告げる。
告げたけど我愛羅は真顔で耳を傾けるだけだから、なんだか一気に恥ずかしくなってしまった。

カァッと頬を染めると我愛羅から視線を逸らす。


……っていうかさ、私…今こっぱずかしいこと言っちゃったかなぁ!
我愛羅ってば馬鹿でもカスでも…ののしりの言葉でもいいから反応ちょいだいよー!

……いや、やっぱカスは精神的にきついかな…



ぶつぶつと、その後私はしばらく呟きながら走っていた。

後ろを振り向かなかったから我愛羅の様子はわからなかったけれど…実際どう思ってくれてたんだろ。



描写(相手の気持ち)読みとりの能力を誰か私につけてください。




***



しばらく探しに歩いていると目標の人物発見!

あの黒い固まり…絶対カンクロウだー!!


私は「居たっ!」と叫ぶと我愛羅の手からするりと自分の手を抜き取り集団の方へと走っていった。

近づけば案の定カンクロウが木ノ葉丸を締め上げていた。
あんの馬鹿兄があぁ……って、私の方が年上で、あまつさえ兄弟じゃないけども……
私はキッと眉をつり上げると勢いよくその場に飛び出した。

しつけはしっかりしないとね!!



「コラぁ! カンクロウ!!」

「っ! ?!」



私が叫んだ瞬間、辺りはビクッと一瞬反応をしめした。
一番吃驚してたのはカンクロウだ。
急に来るなんて思ってなかったんだろう…フッ、甘いわね。

私は何故か勝ち誇った表情でビシッとカンクロウを指さし、腰元に手を当てながらまた叫ぶ。


「カンクロウ! 私は弱い者いじめするようなやつに育てた覚えないよ!!」

「育ててもらった覚えもないっ」

「……あ、そっか。まぁ、どっちにしても小さい子苛めるなんて許さないから!」


言って私は辺り共々指で示した。
え? もちろんナルトも入ってますよ?

その場にいたサクラとテマリとカンクロウ以外を指さしたら「こらー!」とナルトからお叱りを受けた。
…だって小さいじゃん。
ぼそって言ったら拗ねだした。

……苛めてないよー!



と、私も登場してどたばたとした雰囲気。
私はキッと改めてカンクロウをにらみつけるとまた呟く。


「カンクロウ、こんなことして恥ずかしくないの?」

「…っ、関係無いじゃん。」

「あるよ!」


やけにつっぱねる雰囲気のカンクロウに私は思わずムッと唇をとがらせる。
…きっと、我愛羅と重ねて苛立ってる。

ちゃんと止めてあげないと…




そう思ったときだった。
上から石つぶてを投げつけられ、カンクロウが木ノ葉丸を落としたのは。
…って! 子ども落とすなー!!!

鈍い音を立てて落ちた木ノ葉丸。
私は思わず駈け寄ると「大丈夫?」と声をかけた。
そしたら「触んな、コレ!」とかいって思いっきり拒絶されました。


………改めてとっちめていいですか?


とか思わず思いそうになったけど、それじゃ反面教師になりかねない。
ナルトの方に翔ていく木ノ葉丸の後ろ姿を見送ると、視線をさらに上へと移動させた。
そこには紛れもないサスケの姿。

…うわぁ…生サスケ………


……っていうか、気が付けば私はあの初対面シーンのど真ん中にいた。
うっわ、今気づいたけれど7班チーム勢揃いだよ! ちびっ子たちも勢揃いだよ!!

私は思わず口元が揺るんだ。
…不謹慎だなって自分でも思った。
けど、この気持ちは止められなくて…

ドキドキという胸の高鳴りが耳元で響いた。



そんな中、カンクロウはサスケにつっかかりカラスまで使おうとしていた。
私はハッと気が付くと横からぺしっとカンクロウを頭を叩いて静止させる。
こんのお馬鹿は……っ!


「子どもっぽいことしないの。…ガキが嫌いっていっといて、自分が十分ガキになってるよ。」

「…チッ。」


私の言葉に舌打ちするカンクロウ。
ったく、この子は…っていっても、私が止めなくてもこの場はホントなら我愛羅が……


………ん? 我愛羅?


「あれ? そういえば我愛羅……」


ぽつり、呟いたときだった。
先ほどまで一緒にいたのに姿が見えない我愛羅を探そうと見渡し…

視線の先にソレを見つけた。




いつの間にかフッとカンクロウの後ろに現れた我愛羅を。


吃驚した。てっきりサスケの所に現れると思っていたから。
…それでも、周りのみんなは十分驚いていた。
だっていつ現れたのか全然わからなかったから。

何処か武者震いにも近いぎこちない笑みを浮かべるサスケを見たとき、確実に我愛羅の力の高さを見抜いたと思った。



そんな周りに驚きを与えた我愛羅。
我愛羅は、彼の登場に最も驚いていた目の前のカンクロウに対して冷たい視線を浴びせた。

ごくり…

自分が睨まれたわけでもないのに、緊張が走る。



「オレ達は遊びに来たわけじゃない。…恥を上塗りする行為はやめろ。」

「わ…分かってるって。」



ぎこちない会話が響く。

…あとは、サクラに呼び止められ中忍選抜の説明をし、漫画とほぼ同じ流れで話が進んでいった。
説明を聞いてもらえず怒鳴るテマリを「まぁまぁ」となだめながら辺りを見つめる。



こちらを見つめるみんなの視線は、初対面の人を見るソレだ。


…なんだか、それだけで私は疎外感を感じてしまった。

私は知っているのに、みんなは知らない…
当たり前だけど、寂しい事実。

違う世界と言うこと改めて思い知らされる……




…私は、ちゃんとこの世界と接せられているんだろうか。


いつか、みんなに本当のことを…違う世界からきたということを…

伝え、信じてもらえるんだろうか。




ぽつり、小さな考えが喉奥から零れそうになるのを飲み込んだ。







まだ…きっと言えない。








木ノ葉のみんなと別れて宿に着くまで、私はずっとそのことばかり考えていた。

こんな悩み…溶けて消えてしまったらいいのに…


静かに、考えていた……




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